完璧主義を手放し、事業も人生も豊かにした軌跡
見えない檻の中で事業を続ける日々
私の事業は、おかげさまで一定の評価をいただき、順調に見えていたかもしれません。しかし、私の内側には、誰にも話せない苦悩がありました。それは、「完璧でなければ価値がない」という、自分自身に課した厳しい基準と、どんなに頑張っても満たされない自己肯定感の低さです。
常に「もっとできるはずだ」「これでは足りない」と自分を追い立てていました。お客様からの評価を常に気にし、一つでもネガティブなフィードバックがあると、それは自分自身の全否定であるかのように感じていました。新しいサービスを開発しようにも、「完璧なものでなければ失敗する」という恐れから、なかなか最初の一歩が踏み出せません。常に不安がつきまとい、心は休まる暇がありませんでした。
この完璧主義は、幼い頃に植え付けられた「常に一番でなければ愛されない」という思い込みや、過去の失敗経験からくる「二度と同じ過ちは繰り返せない」という強いプレッシャーが根底にあったように思います。当時の私は、その過去の重圧から逃れるように、ただひたすら「完璧」を目指して走り続けていました。しかし、その道のりは孤独で、心身は疲弊していくばかりでした。
壊れかけた心が見つけた、小さな光
そんな状態が何年も続いたある日、私は心身ともに限界を迎えました。体が動かなくなり、何もかもどうでもよくなってしまったのです。生まれて初めて、「このままでは本当に壊れてしまう」という強い危機感を覚えました。その時、ふと友人の顔が思い浮かび、勇気を出して電話をかけました。
話を聞いてもらった友人から、「由美さんは、頑張っている自分を褒めてあげている?」「完璧じゃなくても、由美さんがやっていることにはちゃんと価値があるんだよ」という言葉をもらいました。その言葉は、常に自分を否定してきた私にとって、まさに青天の霹靂でした。初めて、「完璧でなくても良いのかもしれない」という思いが芽生えた瞬間でした。
そこから、私の再生への道のりが始まりました。まずは、自分を責める癖に気づき、意識的に「これで十分だ」「今日の自分はよくやった」と、小さなことでも自分を褒める練習を始めました。また、過去のトラウマと向き合うために、専門家のサポートも検討しました。すぐに全てが変わるわけではありませんでしたが、少しずつ、凝り固まった心の力が抜けていくのを感じました。
事業においても、「失敗しても学びがある」と考えるようにしました。新しいサービスを試験的に導入し、お客様からの正直な意見を求めるようになりました。完璧を目指すのではなく、まずは「やってみる」ことを優先したのです。すると、意外なことに、お客様は私の不完全さも受け入れ、共感を示してくれることがわかりました。
不完全な自分を受け入れて、広がる世界
完璧主義を手放したことで、私の事業は大きく変わりました。常に自分一人で抱え込んでいた業務を信頼できる仲間に任せられるようになり、私自身の負担が減っただけでなく、チーム全体の創造性も高まりました。お客様との関係も、以前のような「評価される側とされる側」という緊張感のあるものではなく、共にサービスをより良くしていくパートナーのような、温かいものへと変化していきました。
何よりも変わったのは、私の内面です。完璧でなくても自分には価値がある、という感覚が少しずつ根付き始め、自己肯定感が高まりました。過去のトラウマに囚われることも減り、心が軽やかになったのを感じます。事業を通して得た経験や、自分自身の内面と向き合った過程は、同じように苦しむ誰かの力になれるのではないか、という思いも芽生え始めています。今後は、自身の経験を共有する機会を設けたり、他者支援に関わる活動にも積極的に関わっていきたいと考えています。
あなた自身の価値に気づく勇気
もし、あなたも過去の経験からくる重圧や、自分自身の厳しい基準に苦しんでいるとしたら、どうか一人で抱え込まないでください。完璧である必要はありません。不完全なままでも、あなたにはかけがえのない価値があり、あなたのやっていることには意味があります。
自分自身の心に耳を傾け、時には弱さを認め、助けを求める勇気を持つこと。そして、不完全な自分自身を許し、愛してあげること。それが、再生への第一歩となるでしょう。あなたがあなたらしく輝ける、豊かな人生と事業を歩んでいかれることを心から願っています。